我が国の産業の国際化

我が国の産業の来し方ですが、昭和30年代までは如何に欧米の優れた特許をライセンシングし、国内で事業化するか、という競争が激化しました。有名な実例の一つは、アイソタクティツク・ポリプロピレンの製造技術で、世界でいち早く確立したイタリアのモンテカティーニには我が国の名だたる化学メーカーが技術導入のために訪れ、モンテ詣でと揶揄されました。また、VHSやベータマックス、あるいはその後のそれを用いたビデオカメラ、あるいは最も象徴的なのは車ですが、考えるまでも無く、我が国は全く新しい目から産業を育てるのでは無く、欧米で勃興した技術をいち早く高性能、高品質、安価で製品化することで世界を席巻してきました。しかしながら、ご承知の通り、韓国や中国が同じ手法を取って、多くの分野で我が国の産業を圧迫するに至っています。

こうしてみると、我が国の産業におけるオリジナリティの欠落が現在の産業における国際競争力の低下をもたらしているように思えます。しかしながら一方で、日本独自の物品の世界化が進んでいます。代表格が和食です。あるいは、日本酒です。ここで指摘しておきたいのは、これらの世界化は、生産者からのmovementによるというよりも、例えば和食については特定の料理人の欧米での活躍とか、日本酒については故阿部首相が国際会議で獺祭をディナーで用いたとか、によるところが大です。更に言えば、食についてはインバウンドの影響が絶大です。他にも未だ、海外で評価されてしかるべき日本製品が多数あると思います。例えば、着物。ここで言いたいのは、日本の産業は欧米に対するオリジナリティが欠落しているわけでは決してなく、紹介できていないだけ、ということです。

輸出と内需のバランス、経済に疎い私は解りませんが、少なくとも輸出拡大を考える際、既存の産業を再度見直してビジネスモデルを再構築する必要があるのではないかと思います。